2075年、東京。この都市では政府により「誰でも一度、無料で利用可能*」な人工子宮[PARALLEL TUMMY]の活用が一般化し、あらたな生命を迎え入れることが可能になっていた。
東銀座の一角にある「PARALLEL TUMMY CLINIC」は、日々そうした人々が相談にやってくるクリニック。訪問者たちは人工子宮の検討を通じ、この都市における生き方や家族のありかたに対する自らの取捨選択から浮かび上がる、切実な欲求や不安に向き合うことになるーー。
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現状存在する生殖技術の一つ「卵子凍結」は一時的な解決策に過ぎず、最終的には妊娠や出産に耐える健康な女性の身体が必要です。さらに、一般的な代理母出産にはいまだ倫理的な課題が残っています。こうした状況において、「人工子宮」という技術が本当の解放を女性にもたらす可能性を秘めていると考えます。人工子宮は、妊娠出産の負担を軽減するだけでなく「血縁」という物語を強化する一方で、人工中絶を回避し養子という選択肢を広げる可能性もあります。この技術は、私にとって非常に魅力的な「痛み止めのファンタジー」として映るだけでなく、多くの人々にとって新たな可能性、そして混乱をもたらすのかもしれません。なぜなら年齢、健康、性別といった生殖の限界を取り払うからです。
『PARALLEL TUMMY CLINIC』は人工子宮が一般化した未来の少子高齢化社会を舞台とした没入型インスタレーションです。鑑賞者は「老人」として2075年の社会に身を置き、AIとの対話やLARP(ライブアクションロールプレイング)から生じたシナリオを通じて、「子供を持つこと」とその背景に潜む個人の欲望や社会的規範について体感し、一緒に議論を深めていただけたら幸いです。
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チケットはこちらから
開催概要 : SHUTLプロデュース 長谷川愛 没入型インスタレーション「PARALLEL TUMMY CLINIC」
出展作家:長谷川愛
コラボレーター・脚本:山田由梨 (劇団 贅沢貧乏 主宰)
1992年東京生まれ。作家・演出家・俳優。立教大学在学中に「贅沢貧乏」を旗揚げ。俳優として映画・ドラマ・CMへ出演するほか、小説執筆、ドラマ脚本・監督も手がける。『フィクション・シティー』(17年)、『ミクスチュア』(19年)で岸田國士戯曲賞ノミネート。セゾン文化財団セゾン・フェローI。Abema TV「17.3 about a sex」「30までにとうるさくて」脚本。NHK「作りたい女と食べたい女」脚本。WOWOW「にんげんこわい」では脚本・監督として参加。
会期:2025年6月6日(金)〜7月7日(月)
時間:13:00-20:00[日時指定予約制(15分おき入場)、最終入場受付19:00]
鑑賞所要時間:約50分(標準)
※火・水曜休廊
※開始(予約)時刻の5分前に集合していただきます。
※1回につき1組(最大1名)のみ入場・鑑賞できます。
※本展覧会は、鑑賞者おひとりずつ、作品の指示に従って空間内を移動していただく形式の展覧会です。作品のタイムラインに沿って移動していただくため、上記の所要時間を短縮しての鑑賞はできませんのでご注意ください。
料金:1,500円[事前予約制・先着順]
2025年5月10日(土) 19:00 チケット販売開始
チケット取扱 : ArtStickerにて販売
詳細・最新情報はSNS又はWEBにて公開予定。
【企画】
主催:SHUTL(松竹株式会社、株式会社マガザン)
助成:公益財団法人 全国税理士共栄会文化財団